建築基準法 点検

【解説】大阪府内 800超の小中学校 防火扉が火災時に閉まらないおそれ

大阪府内 防火扉 閉まらない

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強欲な青木
先日NHKのニュースで『大阪府内 800超の小中学校 防火扉が火災時に閉まらないおそれ』というタイトルで大々的に防火設備の不良個所が放置されている話があったけど‥アレって結局どうなるの!?
弊社、学校関係の工事をされている業者さんと強いパイプあるので情報を仕入れさせて頂きました。普段から防火設備の改修工事でも頻繁に小中学校に出入していて事情も少し知っているので解説してみましょう。
管理人
ピエロ
ピエロ
何か…前も、同じような事なかったっけ?
大阪市内という規模なら弊猫が事務所で暮らし始めた頃に元・橋下大阪市長が『防火設備の不備!?‥直しなさい。』と号令をかけて予算がおりて、一斉に改修される様なことありました。
管理人

 

【解説】大阪府内 800超の小中学校 防火扉が火災時に閉まらないおそれ

◎ NHKニュースさんのツイート

以下の様な、防火扉の不備に関するツイートがNHKニュースさん(@nhk_news)投稿されました。

NHKニュース 防火扉

参考大阪府内 800超の小中学校 防火扉が火災時に閉まらないおそれ

 

大阪府内の800を超える小中学校で不備がある防火扉が見つかり、火災の際に正常に閉まらないおそれがあることが、NHKの取材で分かりました。専門家は「大きな被害が出るおそれがあり、速やかにメンテナンスを行うのが基本だ」と指摘しています。

公立の小中学校の防火扉やシャッターといった防火設備について、大阪府内の自治体の教育委員会などは年に1回、正常に作動するか点検しています。

この結果について、大阪府内に33ある市の教育委員会に情報公開請求したところ、全体のおよそ6割にあたる838の小中学校で、不備がある防火扉が見つかっていたことが分かりました。

強欲な青木
年に一回の作動点検ってのは、防火設備定期検査のことを指しているよね。
はい、数年前から防火設備定期検査の制度が確立され、現在は検査については “入札” で実施されることとなっています。
管理人
強欲な青木
では防火設備定期検査の結果、見つかった不備個所の是正についても入札になってるの?
いえ、不備個所の是正については学校によってそれぞれな為、多くの場合は各学校の事務員さんがお抱えの工事業者に依頼する仕組みになっています。
管理人
施工管理ネコ
施工管理ネコ
なるほど、それが学校に寄っては放置されていたりするのが問題というワケですね。
防火設備や消防用設備等の不備は目先の問題として浮上しづらいので、後回しにされる傾向にあるでしょう。
管理人

 

扉がゆがんで床や天井に接触したり、煙や熱を感知する機械が故障したりといった不備が多く、火災の際に、正常に閉まらないおそれがあるということです。

公立の小中学校は1970年代の第2次ベビーブームに合わせて建てられたものが多く、老朽化が進んでいて、さまざまな設備に改修が必要になっています。

各地の教育委員会によりますと、防火扉の改修には多額の費用がかかることから、不備が見つかってもそのままにせざるをえないケースも多いということです。

強欲な青木
防火設備の不良個所改修工事って、多額の費用がかかるってホント?
症状によります。例えば連動用の煙感知器や防火戸ラッチ(自動で防火戸の固定をリリースする装置)の不備であれば比較的安価ですが、建物自体が歪んでいて防火戸が床や天井に当たって閉まらない‥となると建物側を加工する必要があったりするので高額になる場合があります。
管理人

参考防火戸ラッチの交換と連動試験について

 

◎ 校舎の老朽化

全国の多くの公立小中学校は、1970年代の第2次ベビーブームにあわせて建設され、校舎の老朽化が進んでいます。

文部科学省の平成28年度の調査では、床がはがれたり、外壁が崩れたりといった建物の老朽化による不備が全国の小中学校で3万件以上見つかりました。

大阪 松原市の小学校で去年1月、およそ800キロあるひさしが落下したほか、去年10月には長崎県大村市の小学校で窓枠が外れて児童の背中に当たり、背中の骨が折れる大けがをするなど、老朽化による事故も全国で相次いでいます。

強欲な青木
防火設備だけと違ぉて、建物全体的にガタきてるってことやろか。
その様ですね。例えば防火設備ではなく消防用設備等についても軒並み古くなっており誤作動が多発する為、お金がかかる‥という学校もあります。
管理人
成金タマスケ
成金タマスケ
お金がかかる時期に突入している学校が多いって認識でよろしい?
はい。ただ多額の予算を急に用意することが難しいこともあるでしょうから、現実的には徐々に直していく計画を作っては修正して‥という建物メンテナンスのサイクルを “今から” 回していくべきといった具合でしょう。
管理人

 

◎ 専門家の意見

防火設備 専門家

長谷見 雄二 教授

早稲田大学理工学術院

「火災が起きれば大きな被害が出るおそれがある。財政の問題があり、すぐにできないことは分かるが、故障は最近のものではなく、小さなものが積み重なっているはずで、ちゃんと点検して直せばコストは今ほどかからなかったはずだ。防火設備の優先順位が低かったのが、大きな問題だと思う」

正義タマスケ
正義タマスケ
建物由来の不備については「昔は発生しなかったが、経年劣化により浮上してきた。」という案件だから、これから対処していかなければならない課題として比較的最近になって発生してきた話かと。
中には少しの不備でも放置している学校あるかも知れませが、だいだい「これ直そうとしたら莫大な費用が‥」といって半ば諦める様な案件ってのがノータッチになっているという印象もありますね。
管理人

 

◎ こまめにメンテナンスしている自治体

大阪 枚方市では、遅くとも平成16年からは、法律で義務づけられているものに加えて、防火扉の点検を行っていて、年に2回、異常がないかチェックしています。

見つけた場合は、随時改修工事を行っているということで、昨年度の点検では、市内に64ある小中学校のうち、不備があり正常に作動しないおそれがある防火扉が見つかったのは4校でした。

枚方市教育委員会事務局まなび舎整備室の久保佑樹さんは「児童の安全を確保するため点検の頻度を増やしています防火扉は定期的に開放しないと隙間にほこりやゴミがたまり正常な動作が難しくなるので、こまめな点検が重要だと考えています」と話していました。

強欲な青木
防火設備定期検査の実施頻度は年に1回であり、それ+αで2回のチェックですから通常よりもいい状態になっていることは察しがつきます。
特に「隙間にホコリが溜まって正常な動作が難しく‥」って状況、現場でメッチャあるんですよね。作動試験後に『あれ、閉まらない(開かない)』となって現地の防火戸を手で開けてみると大量のホコリがギッシリ詰まっていただけというパターン多々あります。
管理人
強欲な青木
小学生の頃、階段を掃除してたとき『ちりとり面倒だなぁ…。あ、こんな所にホコリの隠し場所が!(サッサッサッ)』って具合で積極的に防火戸の下へホコリを注入していた過去があるので納得がいきます。
時として子ども達はそういった行動をしていますが、火災発生時に防火戸が動作しなくて困るのも彼らなので周囲の大人が工夫して仕組みを作ることで援助していかなければならないと思います。
管理人

 

◎ 改修に手が回らない小学校

東大阪市にある小学校では、昨年度の検査で、校舎内に設置された29枚の防火扉のうち26枚に不備があり、正常に作動しないことが確認されました。

市の教育委員会によりますと市内の小中学校は老朽化が進んで、改修が必要な箇所が多く、防火扉まで手が回らない状況だということです。

東大阪市教育委員会施設整備室の高橋伸吾室次長は「これまで多額の費用がかかる耐震化工事や空調設備の設置などを優先して行ってきたので、防火扉の改修まで手が回らなかった。学校の防火扉の改修も順次進めたいが、まだすべての学校で計画が立っているわけではないというのが現状だ」と話していました。

工事タマスケ
工事タマ王
例えば温暖化の影響で空調設備の設置なんかは子ども達にとって最優先事項となるでしょうから、仕方ない部分ある気がします。学校については「如何に子ども達の為になるか」という一点で工事予算計画が立てられるべきかと。
しっかり改修できている学校と、そうでない学校があることについては少し気になります。全国的に老朽化しているのであれば、例えば上述した枚方市の様なモデルケースを参考にして計画を丸ごと導入して基準を設定するというのもアリな気がします。
管理人

 

◎ 防火設備定期検査の実施義務

防火扉が作動せず、多くの人が亡くなる火事はその後も相次ぎ、国は建築基準法を改正し、4年前から年に1度、防火扉の点検を行うことを義務づけました。

義務化は、
▼一定の規模があり、不特定多数の人が利用する病院やホテル、商業施設に加え、高齢者が暮らす福祉施設などが対象で、
▼都道府県や規模の大きな市といった「特定行政庁」が必要だと判断した建物も対象になります。

正義タマスケ
正義タマスケ
防火設備定期検査の実施義務については、弊社 “定期報告” ページを参照頂きたいところです。
平成25年10月に発生した福岡市整形外科医院火災では「防火扉が適切に維持・管理されていなかったことによる煙の充満」が原因となった一酸化炭素中毒により、死者10名・負傷者7名という甚大な被害が出ましたね。
管理人

>>「防火設備定期検査」の報告義務は遵守されていますか?

 

大阪府内では学校も点検を義務化しています。

定期点検では、扉がゆがんでいて床や天井と接触しないかや、煙などを感知する機械が適切に作動するかなど、17の項目について資格を持った業者が年に1回調査します。

不備が見つかっても改修は「努力義務」とされていて、罰則などは設けられていません。

囚人T
囚人T
罰則については、罰金とか担当責任者に対する懲役とかは無くていいから消防でいう「違反対象物公表制度」みたいな感じで情報が公開されれば後回しにならない場合もありそう。
例え「努力義務」でも、未来を担う次世代である子ども達の為に、大人ができることすべきだよなと強く思います。
管理人

 

◎ まとめ

  • NHKのニュース『大阪府内 800超の小中学校 防火扉が火災時に閉まらないおそれ』について、普段から防火設備の改修工事でも頻繁に小中学校に出入しており事情も少し知っているので解説した。
  • 防火設備の不良個所改修工事費用は、建物自体が歪んでいて防火戸が床や天井に当たって閉まらない‥となると建物側を加工する必要があったりするので高額になる場合があった。
  • 多額の予算を急に用意することが難しいこともある為、現実的には徐々に直していく計画を作っては修正して‥という建物メンテナンスのサイクルを “今から” 回していくべきといった具合であった。
  • この記事を書いた人

管理人

【経歴】鈴鹿高専材料工学科 ⇒ 静岡大学工学部(3年次編入学) ⇒ 院 ⇒ 鈴与㈱ ⇒ 某A防災㈱ ⇒ 青木マーケ㈱※独立
【保有資格】消防設備士全類・危険物取扱者全類・第二種電気工事士・工事担任者(AI・DD総合種)・第三種電気主任技術者
【主な活動】月刊誌「電気と工事(オーム社)」コラム執筆・ブログ(月間40万PV)・YouTubeチャンネル「強欲な青木&消防設備士」の動画作成

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