その他

【解説】二酸化炭素消火設備の作動による死亡事故ついて

https://aokibosai.jp

2020年12月22日に名古屋市のホテルにある機械式駐車場にて二酸化炭素消火設備が作動し、50代の男性作業員が死亡する痛ましい事故が起こりました。

本来、大切な人の命を火災から救う為に設置されている機器が、結果的に人の命を奪ってしまったことが残念でなりません。

本件について、作動した二酸化炭素消火設備を含むガス系消火設備の工事・整備等を行う為の免状である ”甲種3類消防設備士” 有資格者であり、実務に携わる消防設備士としての見地から解説していきます。

多くの方がガス系消火設備について知り、同じ悲劇が二度と繰り返されない様な世の中になることを切実に願います。

 

【解説】二酸化炭素消火設備の誤作動について

◎ 二酸化炭素消火設備とは‥

二酸化炭素消火設備はガス系消火設備の一つで、主に窒息消火(燃焼時に必要な酸素の供給を絶つ)によって防護区画内の炎を消すものです。

ガス系消火設備とは‥

ガス系消火設備には大きく、不活性ガス消火設備ハロゲン化物消火設備があります。

その不活性ガス消火設備に用いられる消火用ガスとして、二酸化炭素や窒素が該当します。

二酸化炭素消火設備と比較して危険性が少ないことやコストが低いことからハロゲン化物消火設備が主流となっていました。

しかし近年、ハロンガスが成層圏のオゾン層を破壊するとの理由から世界的に製造を中止することとなった為、再び二酸化炭素消火設備が注目を浴びています。

以下に、主なガス系消火設備の構成機器を挙げていきます。

消火用ガスボンベ

消火用ガスの充てんされたボンベです。

CO₂ボンベ

 

防護区画

消火用ガスが噴射される区画のことで、酸素濃度を下げる為に作動時は開口部が閉鎖されます。

防護区画

 

音声警報装置

ガス系消火設備の起動がかかった際、消火用ガス噴射までに防護区画から避難するようにアナウンスするもの。

音声警報装置

 

ガス噴射ヘッド

消火用ガスが噴射されるヘッドです。

噴射ヘッド ガス

 

制御盤

大元の制御盤、ガス噴射エリアの確認や起動・停止操作が可能です。

二酸化炭素消火設備 制御盤

 

感知器

火災を感知して、自動でガス系消火設備を起動させる為のもの。

感知器 ガス系消火設備

 

手動起動装置

防護区画のガス系消火設備を手動で起動させる為のもの。

手動起動装置

 

◎ 原因は手動起動装置の誤操作

以下の内容が、FNNプライムオンラインより報道されました。

消火設備が作動した原因について、警察と消防が調査を進めているが、亡くなった玉田さんとは別の男性作業員が、駐車場の出入り口付近にある作動ボタンを誤って押したとみられることが捜査関係者などへの取材で新たにわかった。

点検タマスケ
手動起動装置の機器によってボタンの配置は異なるので一概に言えませんが、誤って押されるという可能性があるというのは問題ですね。
以前『エレベーターのボタンと間違えて火災報知器(発信機)を押したけど、どうすれば‥?』という電話が関東からかかってきたことがありましたから、通常あり得ないと思われる様なことも起こるのでしょう。
管理人

 

◎ 同じ悲劇を繰り返さない為に‥

二度と同じことが起こらない様に、以下の事項について知って頂きたいです。

ガス系消火設備は危険!

ガス系消火設備が起動した際、防護区画内にいると命を落とします。

ハロゲン化物消火設備 標識

 

濃度の高い二酸化炭素は猛毒であり、一度吸い込むだけで死に至る可能性があります。

二酸化炭素の濃度による人体への影響

参考二酸化炭素の消火効果と放出による危険性

 

音声警報が鳴ったら避難する

ガス系消火設備が放出されても、車や貴重品類は一切汚損しません。

音声警報装置 ガス系消火設備

自分の命を最優先にして、大切な人と同伴されている際は共に速やかな避難をされて下さい。

 

設備を熟知した者が立ち会う

当該事故を受けて通知された令和2年12月23日 消防予第410号「二酸化炭素消火設備の放出事故の発生について」にて、以下の文言が謳われています。

今般の事故を踏まえ、二酸化炭素消火設備が設けられている付近で他の設備機器の設置工事、改修工事又はメンテナンスが行われる場合には、誤作動や誤放出を行わせないよう第三類の消防設備士又は二酸化炭素消火設備を熟知した第一種の消防設備点検資格者が立会うこと‥

参考消防予第410号 二酸化炭素消火設備の放出事故の発生について

電話タマスケ
電話タマスケ
そういや先日、弊社に『感知器あぶったら音声・点滅機能付き誘導灯が連動して、止まらないんですけど‥どうすれば!?』という大変迷惑な電話ありましたね。
いや、そんなことも知らんのに試験すんなや!…って感じでしたし、弊社長も『よぉ仕事しとんな‥』と呆れられていました。
管理人
審判タマスケ
審判タマスケ
特にガス系設備は命の危険があるので素人が触るのはアウト、専門家を呼んで安全に作業して下さい!これは国からの通達でもあるので。

 

以上、消防用設備等の中でも聞き慣れないであろうガス系消火設備の仕組みを簡潔に説明しました。

二度と死亡事故が起こらないよう、特にガス系消火設備が設置されている場所に立ち入られる方々は注意して下さい。

 

◎ まとめ

  • 機械式駐車場にて二酸化炭素消火設備が作動して50代の男性作業員が死亡する痛ましい事故が起こり、大切な人の命を火災から救う為に設置されている機器が、結果的に人の命を奪ってしまった。
  • 作動した二酸化炭素消火設備を含むガス系消火設備の工事・整備等を行う為の免状である ”甲種3類消防設備士” 有資格者であり、実務に携わる消防設備士としての見地から同じ悲劇が二度と繰り返されない為に広報した。
  • 二酸化炭素消火設備が作動した原因は、別の男性作業員が、駐車場の出入り口付近にある作動ボタンを誤って押したとみられることが報道されていた。
  • この記事を書いた人

アオキ シュンスケ

【経歴】鈴鹿高専材料工学科 ⇒ 静岡大学工学部(3年次編入学) ⇒ 院 ⇒ 鈴与㈱ ⇒ 青木防災㈱【保有資格】消防設備士全類・第二種電気工事士・工事担任者(AI・DD総合種)・第三種電気主任技術者【主な活動】月刊誌「電気と工事(オーム社)」コラム執筆・ブログ(月間25万PV)・Twitter企業アカウント(フォロワー数3.2万人)の運営

-その他

© 2021 青木防災㈱