強欲な青木
消防設備士として出張していたから‥某国営テレビ取材をお断りしていたってホント！？
はい‥先日より可能な限り北新地火災より約一か月経過の取材対応しておりますが、日程が合わず大変申し訳御座いませんでした！
管理人
強欲な青木
ほんなら代わりにアンタ‥これから火災被害の軽減とか再発防止策みたいなん発信したらどない？
それなら‥消防設備士として「避難器具の設置に補助金を出すべき」なる見解もってますし、理由も述べられますわ。
管理人
なぜ大阪市北新地火災を踏まえた今後の火災被害の軽減および再発防止策が「避難器具の設置に補助金を出す」なのか、その結論に至る理由を述べていきます。
北新地ビル火災に関する消防設備士の見解
◎ 事件直後にアクセスが急増した検索キーワード２つ
事件直後に弊社HPのアクセス数が急増していたと如実に分かる検索キーワードは以下の２つでした。
- 「特定一階段等防火対象物」
- 「スプリンクラーの設置基準」
その理由を分析していきます。
「特定一階段等防火対象物」が検索された理由
特定一階段等防火対象物を対象に全国的な緊急立入検査が要請される書面が公表された為、その意味を調べる方によって弊社HPアクセス数が急増したと見ています。
参考大阪市北区のビル火災を受けた緊急立入検査について 令和３年12 月19日 報道資料
「特定一階段等防火対象物」とは‥概ね「３階以上の階に不特定多数の人が出入りする用途があり、屋内階段が一つしかない建物」と言い表せます。
参考特定一階段“等”防火対象物
点検タマ王
特定一階段等防火対象物の定義は、新宿歌舞伎町ビル火災を契機に消防法の大改正があった際に規定されました。
特定一階段等防火対象物に該当すると‥適用される消防用設備等の設置基準も厳しくなっているんです。
管理人
例えば、特定一階段等防火対象物の避難器具は一動作式(使用時の動作が省略されたもの)を設置しなければなりません。
参考“一動作式”避難器具の設置基準、新宿歌舞伎町ビル火災と防火対象物点検
「スプリンクラーの設置基準」が検索された理由
凄惨な火災が発生した後に『スプリンクラーがあれば‥』なる反応は定番であり、現場にスプリンクラー設備の設置義務が無かったのかを知りたい方が多数いらっしゃったからと分析します。
他にも例えば首里城火災が発生した直後も急増していました。
しかし危険物を用いた計画的な放火殺人であった本件で使用された「ガソリン」に対して注水消火は不適です。
ガソスタマスケ
非水溶性かつ比重１以下の危険物であるガソリンに注水しても水面に浮き、燃焼拡大する可能性すらあります。
屋内消火栓が自主設置されていたと報告ありましたが、スプリンクラー設備と同様に水系設備ですから同様です。
管理人
一方、消防法上の避難器具は設置されていませんでした。
◎ 避難器具の設置基準と二方向避難
避難器具が設置されるパターンは主に以下の３つです。
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参考【消防隊進入用の上下操作式】７００角の避難ハッチを設置【施工事例】
続きを見る
しかし、昔の建築基準法が適用された古い建物だと屋内階段が一本かつ避難器具も無い危険な状況になり得てしまうのです。
Dr. タマ王
二方向避難を確保する為に屋内・屋外階段を後付け設置したり、建物を解体するのは非現実的じゃ‥。
そこで避難器具の付加設置によって二方向避難の確保をするのが得策、かつ費用も最小限に留められると帰結するのです。
管理人
工事タマ王
既に防火管理意識の高いお客様より、北新地火災を受けた避難はしご(※自主設置)の受注を頂いてますね。
さらに国の補助で改善の加速が見込めます‥具体的には今回、立入検査を実施した建物に避難器具を設置するなら補助金を出すとか。
管理人
※ただし建築基準法施行令 第121条で規定された二方向避難の要件は直接通路などへ避難できるバルコニーへ避難器具を設けなければならないので注意。
３階以下なら「吊下げ避難はしご」を置くだけ
３階以下であれば窓から吊り下げるタイプの「吊下げ避難はしご」が設置できます。
参考避難器具の設置基準
◎ 消防設備士の意見
防火管理は人の善意に頼るのみだと不十分な為、建築基準法や消防法で補填されていますが、それらの法に隙間があると痛みを伴い気付いたなら塞ぐ措置を講じるべきでしょう。
本件の様な危険物を用いた計画的な放火殺人への対策は極めて困難ですが、現実的な対策として「避難器具の設置を補助金で加速」を提案します。
火消しタマスケ
管理人お前‥消防法に基づく国家資格「消防設備士(甲全類・乙6と7)」と「危険物取扱者(甲・乙全類)」もってるらしいやん。
かつ現場実務に従事した上で得られた一次情報を発信しているのが、この青木防災㈱Web管理人です‥まぁ割と説得力あるでしょ。
管理人
弊猫の取材に加え、社会貢献性の高い本業について影響力あるメディア様と協力して世間へ発信できれば幸いです。
最期に
大阪市北新地火災で亡くなられた方のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
もはや消防用設備等では為す術の無い凄惨な放火殺人でしたが、これから同じ様な事が起こらない様に、起こった時に一人でも多くの大切な人の命が救われるよう一つずつ目の前の課題解決に尽力して参ります。
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以上、消防設備士として北新地火災が発生した特定一階段等防火対象物へ「避難器具の設置に補助金を出す」を提案した理由を解説しました。
【✍追記】
ボジョ(防火管理者の補助メディア)にて、最新記事「大阪市北区ビル火災の報告書について解説！【今後の防火・避難対策】」を公開しています。
併せて、ご覧下さいませ。
◎ まとめ
- 大阪市北新地火災を踏まえた今後の火災被害の軽減および再発防止策が「避難器具の設置に補助金を出す」なのか、その結論に至る理由を述べた。
- 昔の建築基準法が適用された古い建物だと屋内階段が一本かつ避難器具も無い危険な状況になり得る為、避難器具の付加設置による二方向避難の確保で「補完的な代替措置」の一つを達成するのが得策、かつ費用も最小限に留められた。
- 防火管理は人の善意に頼るのみだと不十分な為、建築基準法や消防法に隙間があると痛みを伴い気付いたなら塞ぐ措置を講じるべきであった。