この度、奈良県消防学校と青木防災㈱は「消防学校教育における連携協定」を締結しました。
【図解】連携協定の内容
第6条〔公表〕に基づき、奈良県消防学校より事前に承諾を得た上で、以下の通り授業の模様を公開します。



【奈良県消防学校 × 青木防災株式会社】消防訓練の授業【教育連携】
◎ 授業の流れ
消防用設備等に関する授業は、計53名の生徒が3つのブースに分かれて実施されました。
授業のブース3つ
- 消火器の使用・構造説明
- 煙中における自動火災報知設備の操作と誘導灯確認
- ベランダ仕切り板の破壊および救助活動訓練
1⃣ 消火器の使用・構造説明ブース
弊社は「加圧式粉末ABC消火器10型」および「蓄圧式粉末ABC消火器10型」を授業用に提供しました。
放射試験
実際に消火器を使って、専用のビニールへ薬剤を放射しました。
加圧式と蓄圧式の違い
加圧式粉末ABC消火器の内部には、加圧用ガス容器(小型ボンベ)が内蔵されています。
加圧式はハンドルを握って加圧用ガス容器(小型ボンベ)を開封することで、消火器内の圧力が急激に高まって消火薬剤が放射されます。
一方、蓄圧式には指示圧力計(蓄圧ゲージ)があり、消火器本体容器内に圧縮ガスが充填されています。
劣化した加圧式消火器は、本体容器がボンベの圧力に耐えきれず破裂する危険がある為、現在は蓄圧式粉末ABC消火器が主流です。
粉末消火薬剤の物性と消火作用
粉末消火薬剤の消火作用は「窒息作用」と「抑制作用」ですが、その「窒息作用」を理解する為の実験が行われました。
- 「窒息作用」‥燃焼継続に必要な酸素の供給を遮断する
- 「抑制作用」‥燃焼の連鎖反応を抑制する
粉末消火薬剤に水を入れて混ぜても、消火薬剤が混ざらず水に浮き続けて表面を覆います。
この物性により燃焼物への酸素供給が遮断できる為、消火が可能となっています。
2⃣ 煙中における自動火災報知設備の操作と誘導灯確認
弊社からは「自動火災報知設備(訓練用キット)」および「誘導灯C級(訓練用)」を授業用に提供しました。
準備
スモークマシンで煙を充満させる部屋に、あらかじめ訓練用の消防用設備等を取付け。
煙中で自動火災報知設備の操作
煙が充満すると視界が真っ白になり、およそ1~2.5 m程しか見えません。(※本当の火災時は屈んで避難しましょう。)
近づいていくと、比較的見えやすいリング型表示灯が徐々に煙の中から姿を現します。
発信機(強く押すアレ)が押されていた場合は、それを復旧してから受信機(大元の制御盤)を操作して音響を停止します。


煙中における誘導灯の視認性
自動火災報知設備と同じく、誘導灯も近寄らなければ見えません。
50 cmくらい近づいた段階で、やっとハッキリ機器が見えてきます。
3⃣ ベランダ仕切り板の破壊および救助活動訓練
弊社からは「ベランダ仕切り板固定金具 ×2」を授業用に提供しました。
通常の消防訓練ではベランダの仕切り板を破って「避難する」ことを想定していますが、今回は「要救助者のところへ向かう」為に使用されました。
要救助者は、梯子を用いたロープワークで緩やかに地上へ降ろされていきます。
ちなみに「身長160 cm、50歳くらいの男性」と叫ばれていた要救助者の模型は、こんな顔でした。
◎ 手動排煙の使用
最後に全員で、スモークマシンで煙を充満させていた部屋の排煙窓を起動させて煙を逃す模様を観察して授業内容が終了しました。
◎ 終わりの挨拶
授業の締め括り時に消防官の先生が『青木防災㈱さんに、お礼の挨拶を‥』と進行して下さり、生徒の皆様から『ありがとうございました!』と感謝の言葉を頂きました。



‥消防士さんと消防設備士で街の防火管理を共に努めていきましょう!

◎ 片付け
消防学校の生徒さんも、片付けを手伝って下さいました。
放射した消火器および粉末消火薬剤は、適切に廃棄(加圧式)や再充填(※蓄圧式)します。
消火器はリサイクルが義務付けられています!
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【よくある質問】消火器(産業廃棄物)の処分に必要なリサイクルシールの話
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◎ 謝辞
奈良県消防学校の皆様、この度は大変貴重なご機会を頂戴しまして誠に有難う御座いました。
指導教官の皆様の熱意と、授業に真剣に取り組む生徒の皆様の姿を目の当たりにして感動しました。
徹底して決まり事を守ること、その姿勢から一歩間違えれば人命に係る仕事に携わる覚悟が伺えました。
また、訓練用消防機器の改善点が見つかった他、皆様の有難いご意見も大いに参考とさせて頂いております。
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参考【奈良県消防学校 × 青木防災株式会社】アンケート結果(前編)
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同じく大切な人の命を守る職業である我々消防設備士も、より気を引き締めて業務に邁進していかねばならぬと教わることができました。
今後共、何卒宜しくお願い致します。これから消防学校の生徒の皆様が活躍されることを心より願っております。
タマスケ広報課長(6)