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現役消防設備士が解説!消防設備士という仕事【#職業データベース】

消防設備士 仕事

https://aokimarke.com

強欲な青木
将来の吾輩が‥一体どんな職業につくのか、今のところ見当もつきません。
世の中に職業ってメチャクチャ種類あるけど、消防設備士については超リアルな話できるよ!
管理人

 

ブロガーのちきりん氏(@InsideCHIKIRIN)が2011年に「ネット上に超クールな“職業データベース”が出来つつある」というエントリをされていて、それを見た方が自分の仕事について書くという好循環が生まれています。

ちきりん

ネットに超クールな“職業データベース”が出来つつある

Chikirinの日記

この前、「インターネットが子供のキャリア形成プロセスに与える影響」というテーマで講演をしました。“子供”とは、小学校5,6年生から中学生くらいを想定して。ちきりんはインターネットの中に‥
(続きを見る)

その為、管理人も『消防設備士について書くことで職業データベース構築に貢献して次世代の役に立ちたい!』…と筆を執ったワケです。

 

点検タマ王
まさに消防設備士の仕事って、ちきりん氏が仰っていた「極秘情報ではないけれど、一般には広く知られていなかった」レベルの情報かと。
あと消防設備士が施工・メンテナンスしている消防用設備等って、今の段階で『得体の知れない物体X過ぎて、本来の効果が発揮できていない』って課題もあるので段階的に情報が浸透していけば社会全体としてもメリット有りですね。
管理人

 

ネット上にある「消防設備士の仕事とは‥」的な話って、資格の教材を販売する会社や転職サイトが媒体になっていて恣意的に曲げられている感じがあります。

ですから、消防設備業界内部の現職である管理人が(ピィーーッ!!)なインサイダー情報を織り交ぜながら紹介していきます。

「消防設備士」とは、消防法に基づく国家資格である「消防設備士」の免状を取得した上で自動火災報知設備やスプリンクラー設備といった消防用設備等の施工・メンテナンスをしている会社(専業であれば防災屋)で働く者を指します。

 

※ちょっと文章が長めなので、目次を見て気になる部分から読まれても良いかも知れません。

 

「消防設備士」という仕事

 

◎ 消防設備士の実務概要

消防設備士 実務

まず、消防設備士の実務は以下の3つに分かれています。

  • ①工事
  • ②改修
  • ③点検

 

①工事

まず①工事については、新築の建物や改装・用途変更に伴う既存の建物といった工事現場にて消防用設備等を設置する作業となります。

施工管理ネコ
施工管理ネコ
防災屋さんって、自火報(自動火災報知設備)とかスプリンクラー設備の工事してるよね。
その際に、消防設備士の “独占業務” になってる着工届って書類を作成して、所轄消防署に届出してるんです。
管理人

消防設備士の実務には、工事現場での作業だけでなく所轄消防署へ提出する書類作成や施工後の消防検査立会い等が含まれます。

着工届‥消防法第17条の14にて、甲種消防設備士(有資格者)が工事着手10日前までに届け出なければならない書類。

特にスプリンクラー設備や屋内・屋外消火栓設備といった水系やハロン・CO₂等のガス系の消火設備に関する着工届は、消火に必要な能力を計算しなければならないので一定の専門性を要する。

 

また①工事は他の建築工事業者や設備業者と共に仕事をする為、消防設備士の業務の内で「建設業の色合いが強い」です。

土方タマスケ
土方タマスケ
いうても消防設備士って『誰でも、楽して稼げる』仕事ちゃうん?
そういう耳障りだけいい謳い文句を信じちゃう人には、よりリアルな現場における消防設備士の6Kについて知って欲しいところ‥。
管理人
参考
【⚠ 消防設備士 やめとけ】現役の消防設備士がリアルを暴露します

続きを見る

 

 

②改修

次に②改修ですが、これは主に③点検で発覚した設備の不良個所や、経年劣化などによる設備の不良個所の改修工事を指しています。

建物や設備の状況によってパターンが無数にある為、消防設備士の実務において最も難易度が高いケースがあるのも②改修の特徴です。

強欲な青木
例えば火災報知器の誤作動原因一つとっても、建物ごとに色んなパターンあるから謎解きが厄介な時あるね。
裏を返せば「その建物の消防用設備等について詳しい者が有利になる業務」なので、真似されづらい作業とも言えるかと。
管理人
参考
7.5次産業化 消防設備士 改修
7.5次産業化した市場は “改修” の得意な消防設備士が生き残る説

続きを見る

 

 

③点検

最後に③点検ですが、消防設備士が行う点検と言えば消防法第17条3の3にて規定されている消防用設備点検を指すでしょう。

自動火災報知設備がある建物であれば、先端に試験器が装着された棒を持った消防設備士が「天井の感知器を試験するシンボリックな光景」は皆様お馴染みではないでしょうか。

強欲な青木
おーっと㈱石井マーク様(@ishiimark_sign)のTwitterに消防設備士が登場したァァッ!!
ちなみに天井の感知器を点検する時‥物凄く周囲から視線を浴びるのも消防設備士の実務における特徴です。(笑)
管理人

 

上記の②改修と③点検が適切になされて成り立つのが、いわゆる “メンテナンス” つまり維持管理という意味合いの仕事となります。

消防法に基づく点検は、消防用設備点検だけでなく「防火対象物点検」もあります。

他にも、建築基準法上でも防火戸・防火シャッター等を対象とした「防火設備定期検査」といった消防設備士が行うことで作業効率・技術的に相乗効果が見込めそうなメンテナンス作業が挙げられます。

参考
消防用設備点検
消防設備士が関わるべき5つの点検|消防法と建築基準法【定期報告】

続きを見る

 

 

◎「どうやって消防設備士になったか」

軍隊

消防設備業界に足を踏み入れる初めの一歩は人それぞれですが、大きく以下の3つが挙げられるでしょう。

 

①コネクション

知名度のない消防設備業界に辿り着くルートの一つに、コネがあげられるでしょう。

画家タマスケ
画家タマスケ
身近な人が消防設備業界で働いていたことがキッカケで消防設備士になったというパターン‥よく聞きます。
かく語る私も、コネ入社で消防設備士をしております。
管理人

 

ちなみに、こんな感じで職業データベース的な発信に辿り着かなければ、消防設備士って仕事があることを認識するのは困難な現状です。

消防設備士になったら、合コンで消防士のフリをして説明をサボることも覚悟しなければなりません。

例えば、管理人なんて同じ消防法に基づく「危険物取扱者」って免状をフルで取得していたのに「消防設備士」については知ることができていませんでした。

強欲な青木
あれれ~、危険物取扱者試験と消防設備士試験の日程って消防署の同じ場所に隣り合わせで掲示されてるよねぇ?
あの時は‥気付かなかったのです(※管理人が鈍いだけの可能性アリ)。
管理人

 

②関連業種からの転職

例えば、電気屋さんとして働いていた方が、現場にて自動火災報知設備の工事をする防災屋と関わることがあったします。

その際に『消防って‥面白そうだなぁ』と思って、消防設備業界に入る方もいらっしゃいます。

工事タマスケ
工事タマスケ
消防設備士は水系設備(屋内・屋外消火栓やスプリンクラー等)も取り扱うから、給排水の施工に携わる衛生屋さんのスキルも活かせそう。
あと、点検メインの防災屋であれば、ビル管理や不動産及び工場内の設備管理部門から転職される場合もあるね。
管理人

 

大変レアなケースとして、元消防士であった方が消防設備士になるといったキャリアも伺ったことがあります。

 

③工業高校・職業訓練校からの紹介

地域の工業高校などに求人を出して、新卒入社を受け入れている防災屋さんもあります。

タマスケ博士
Dr. タマ王
たしか管理人が乙4消防設備士の講師を担当していた神戸高等技術専門学院は、職業訓練校の様な位置づけだったのぅ‥。
職業訓練校の授業がキッカケで消防設備士に興味を持ち、自分の仕事にするパターンも大いに有り得るでしょう。
管理人

 

ちなみに、消防設備士になるに際して「学歴不問」もしくは「高卒以上」の防災屋が多数を占めます。

強欲な青木
もし学歴を活かした就職や転職がしたい場合は、今のところ消防設備士はオススメできませんね。
学歴由来の専門的な能力とかリーダーシップが必要とされる仕事ってのが、ほぼ消防設備士の実務には無いですから‥。
管理人
強欲な青木
そういや管理人って、確か‥前に『大学院出てソレですか?』って誹謗中傷されてなかったっけ?
グハッ‥!(こうかはばつぐんだ)
管理人

 

◎ 超リアル!消防設備業界の情報

消防設備業界にて、数年ガチで働いてみないと分からない話が沢山あります。

これから消防設備業界の門を叩く可能性のある方向けに、超リアルな話も少し紹介します。

 

①消防設備業者の立場は弱い

なぜ消防設備士という仕事が成り立っているかといえば「消防用設備等の施工・メンテナンスにおけるエキスパートである」ことに基づいています。

強欲な青木
‥でなければ、頼られることも無いでしょう。
だがしかしbut、市場構造的に「消防設備業界は他業種の下位市場となっている」という厳然たる事実があるのです。
管理人

 

⛑ 工事の場合

例えば、建設業では大きく設備工事という括りがあり、その中の一つが消防用設備等の工事となります。

建築現場には給排水工事を行う衛生屋さんや電気工事を行う電気屋さんが必ず入っており、衛生屋さんであれば水系設備、電気屋さんであれば警報設備の工事を手掛けることもあります。

このことから、建設現場に入る場合だと衛生屋さんもしくは電気屋さんの下請け業者となる場合が多いのです。

ゼネコン現場ではヒエラルキー

また、そもそも設備業者自体が建設現場全体の構造的に三次請け以降になるのが確定しています。

参考
防災屋(消防設備士)が現場で必要とされる理由
防災屋(消防設備士)が現場で必要とされる理由を解説|マーケティング

続きを見る

その為、業者間の折衝でも強気で出られないことや、ある程度の値交渉に応じざるを得ない場面があります。

強欲な青木
建設現場においては、そもそも消防設備士だけでなく設備業者自体の立場が弱いのですか‥。
この現実を現場でひしひしと噛み締めた結果、元請け側の業者に転職される方もいらっしゃる様です。
管理人

 

✍ メンテの場合

また、建物のメンテナンスにおいても消防設備業界は完全に警備業界の下位市場となっています。

何故なら、消防機器メーカー最大手のN社や、二番手のH社はいずれも大手警備会社に完全子会社化されている為です。

消防設備業界の市場構造

強欲な青木
警備会社を含むビル管理会社って、建物のメンテナンス一式を手掛けるパターン多いわな。
他のサービスを含む全体からコスト削減の提案ができる強みで “節約” して儲けてはりますわ。
管理人
参考
現役消防設備士が解説!消防設備業界のマーケット【マーケティング】

続きを見る

以上の理由から、消防設備業者の立場が市場構造的に弱いことを分かって頂けたかと思います。

 

②消防設備士の給料

消防設備士の給料について平均年収が¥400~600万円だとネット上で公表されていますが、これはズバリ会社に寄りけりです。

消防設備士 給料が安い

防災屋の給料を推測する目安として、前述した市場構造上で「どのような立ち位置の業務をしているか」が挙げられます。

化学タマスケ
化学タマスケ
例えば、建設現場で何次請けとして仕事ができているか、どの様な条件で消防用設備点検をしているか‥等の情報ですね。
もしそれが分かれば会社がビジネスモデル的に儲かっているかどうか、ある程度の判断はできそう。
管理人
参考
消防設備士 転職市場
現役消防設備士が語る転職市場のリアル|年収が上がる転職先はある?

続きを見る

もし消防設備士として働く場合は、入社する会社について事前にしっかり調べましょう!

 

③女性消防設備士が少なく、高齢者が多い

厳然たる事実です。

建設業全般に当てはまることですが、消防設備業界も多分に漏れず‥。

強欲な青木
消防設備士の免状更新の為の定期講習に行った際、会場に高齢男性しかいなかった‥という絶望的な話もありましたね。
裏を返せば、若者かつ女性であれば業界内で注目されること間違いなし!…って環境でも言えたり言えなかったり。
管理人

 

変化の速い今の時代は「若者である」ということが、昔と比べてメチャクチャお得だと思ってます。

何故なら、最新のテクノロジーに触れる時間が人生の多くを占めており、その分だけ爆速で成長できるからです。

強欲な青木
例えば「30年前の東大生」vs「スマホを持った今の中学生」で知識量の勝負って、どっちが勝つと思いますか?
分野に寄りけりですが、おそらくGoogle先生を味方につけている後者が勝つでしょう。
管理人

消防設備士の仕事は「資格取得」や「現場作業を覚える」等の “初速” こそ要るものの、ある程度までは数年で慣れてプラトーに達します。

プラトー(Plateau)は、一時的な停滞状態のことを言う。

おもに筋力トレーニング時の停滞期を指す。

 

身体で覚えて作業できることは良い事である反面、若者にとっては頭を使って苦労して成長していく‥というチャンスを逃す事に繋がる恐れがあります。

強欲な青木
プラトーに陥ると、今までと同じトレーニング内容にもかかわらずまったくと言っていいほど成績が向上しませんね。
プラトーを回避するにはトレーニングメニューの多様化が有効とされてますから、消防設備士である若者は理論的にも色んな事にチャレンジすべきなのです。
管理人

例えば「消防設備業界についての発信」に挑戦するというのは、いかがでしょうか。

社会全体の為にもなって会社の為にもなり、そして自分のスキルも身に着くのでオススメな気がします。

 

☆☆☆

以上、ザーッと消防設備士の仕事について述べてみました。

世の中に数多ある職業の中の一つに、消防設備士が入れば幸いです。

その他、不明な点や知りたいことありましたら遠慮なくコメント下さいませ。

 

◎ まとめ

  • ブロガーのちきりん氏のエントリを見て、管理人も『消防設備士について書くことで職業データベース構築に貢献して次世代の役に立ちたい!』…と筆を執った。
  • 消防設備士の実務には①工事②改修③点検があり、元々知られていない消防設備士なる職業に就く経路として①コネ②関連業種からの転職③学校の紹介があった。
  • 消防設備業界で働く消防設備士には独占業務があるが、市場における立場は弱く多重下請け構造で買い叩かれる一面もあった。
  • この記事を書いた人

管理人

【経歴】鈴鹿高専材料工学科 ⇒ 静岡大学工学部(3年次編入学) ⇒ 院 ⇒ 鈴与㈱ ⇒ 某A防災㈱ ⇒ 青木マーケ㈱※独立
【保有資格】消防設備士全類・危険物取扱者全類・第二種電気工事士・工事担任者(AI・DD総合種)・第三種電気主任技術者
【主な活動】月刊誌「電気と工事(オーム社)」コラム執筆・ブログ(月間40万PV)・YouTubeチャンネル「強欲な青木&消防設備士」の動画作成

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