



きっと多くの方が「消防設備士」なる国家資格すら知らなかったでしょうし、防災屋という消防用設備等の施工・メンテナンスを専業とする会社があることもご存知なかったかと。
ここでは、管理人を含む弊社員から集積された消防設備士や業界内のリアルな情報を飾らずに紹介してきます。
以下の様な読者を想定します。
- 転職しようか迷っていて、消防設備士や防災屋も候補に入っており情報が欲しい人。
- 転職活動中で、すでにエントリーや面接の段階に進んでいるが不安を抱えている人。
- すでに消防用設備等に係る業務を行っており、他社や市場全体について知りたい人。
※耳の痛い正論が混じっております、不快に思われた方は猫を見る様にして下さい。
現役消防設備士が語る転職市場のリアル
◎ 消防設備士の給料(待遇面)
まず、会社選びに際して目に付くのは「給料」である方が多いでしょう。
結論から申し上げますと、残念ながら「現在の消防設備士は薄給」な傾向にあるでしょう。
では気になる「何故、消防設備士は薄給なのか?」って話は「給料は、ほとんど業界で決まる。」という法則を知っておく必要があるでしょう。
給料は、働く業界の生産性に比例して高くなります。
生産性 = 成果(付加価値) ÷ 投入資源(コスト)
例. 製薬業界の「生産性」
例えば高給な業界の一つに、製薬業界が挙げられます。
製薬業界のビジネスを、大ざっぱに生産性の方程式に当てはめてみると以下の通り。
製薬業界の生産性 = 成果(付加価値)☜高価な薬 ÷ 投入資源(コスト)☜比較的安価な原料
要は、安いinput(入力)で高いoutput(出力)がされる為、元々ビジネスモデル的に儲かり易い仕組みになっているのです。
そして、製薬業界については「薬の開発期間が長い」為、初期投資額が200~300億円と参入障壁が非常に高く真似し難いのも特徴です。
例. 消防設備業界の「生産性」
次に、消防設備業界における生産性をみてみましょう。
7.5次産業化された市場‥の記事でもあった通り、消防設備士の業務には「工事」「改修」「点検」の主に3つがあります。
簡潔に話を進めたいので、ごっちゃにして大まかな消防設備士の生産性を方程式に当てはめてみます。
消防設備業界の生産性 = 成果(付加価値)☜消防法クリアおよび安心感 ÷ 投入資源(コスト)☜機材および人件費
ここで注目して頂きたいのがoutput(出力)となっている “成果” の部分です。
現在は、お客様に「消防法クリアの価値や火災リスクが予防される安心感」を納得していただけていない為、我々消防設備士のinput(投入した労力など)に対して成果や付加価値が出し切れていない状況となっています。
徐々に改善されてはいるのですが、業界ができて60年と歴史が浅いことや変化が遅い市場であることもあり最適化がされておりません。
よって、生産性が低い業界である為「消防設備業界は薄給」であり、その解決策としては成果(付加価値)を高める工夫に着手するといったことが挙げられます。


◎「生産性」の低いブラック企業の見分け方
また、防災屋によっては「薄給中の薄給」みたいな労働者から搾り取ってジリ貧にして、経営者だけ甘い汁を吸っている様な状態の会社もあります。
口が裂けても、ここで『◯◯社は、ブラック企業!』とかは公言できませんが、一つ防災屋の給料を見分ける指標が以下の通り‥。
防災屋の給料を見分けるポイント
どういう現場や業務に手を出しているか
コレが分かれば、ある程度の待遇は予想できます。
例えば、点検メインで大手警備会社の下の管理会社の下で点検やってます‥みたいな会社さんだと、ビジネスモデル的に薄給確定です。
どれだけコスト削減できるかという競争は、生産性の方程式における投入資源(input)を小さくする動きとなります。
つまり消防設備業の生産性における人件費を小さく削る必要がある為、そこで働く人の給料が削られる仕組み。



では逆に、比較的高給な防災屋の見分け方については以下の様な特徴がありそうです。
- 地域の工務店やデベロッパーに設備屋として入ってガッチリ手を組んで施工・メンテナンスをしている。
- 専門性のある社員10人以上規模かつ組織として動けている状態で業務が効率化されている会社である。
- 経営者が役員報酬を取り過ぎず会社へ還元するといった理念がある(※内緒で社員に聞いてみましょう)。


◎ 消防設備士よくある質問(FAQ)
まず「消防設備士になる人のイメージ」について、業界に足を踏み入れたことがない方は何の情報も無いので分からないかと。
Q&A方式で、消防設備士なる職業に就く方々の特徴を紹介していきます。
実務経験無いと厳しい?
女性の業界じゃないイメージ‥
理系っぽい感じ?
ざっと、こういった疑問がイメージがあるかと思いますが事実について触れていきます。
Q.未経験でもOK?
会社によって様々ですが、中小規模の防災屋だと未経験でも採ってくれる求人が多々あります。


Q.女性の消防設備士ってアリなの?
今の段階では、弊社に女性で消防設備士としてバリバリ現場へ…という方はいないんです。
しかし、他社さんだと女性消防設備士ばかりという組織もありますし、管理人の友人にも女性消防設備士さんがいます。



よって、女性消防設備士は大アリです。
Q.理系なの?
消防設備士のテキストには基礎物理や化学が出題されますし、届系では計算も必要になることあるので理系かと問われれば‥そうかも知れません。
しかし、そんな難解な計算を解くわけでもありませんから心配無用かと。




世間で毛嫌いされることのある “ザ・理系” な仕事ではないので、文系の方も安心して下さい。
ただ、理系だとイキナリ甲種消防設備士の受験資格あるって点では若干お得かも。
◎ 消防設備士のキャリア出口戦略




◎ 消防設備業界にいる人が転職先として選べる他業界(管理人の話)
まず、管理人が電験三種の取得キッカケで転職サイトおよびエージェントに登録して仕入れた情報については以下の様な感じでした。
✍ 管理人が転職サイトに登録した時の求人種類
- 大手ビル管理系
- メーカーの設備保守系
- 同業他社系
直接エージェントさんから定期的に電話かかってくるんですけど、その時に『消防設備業界の転職は “ビル管理” か “同業他社” になってきますね。』と仰られていました。


ただ、魅力的に見える求人ばかりを優先的に紹介して食いつかせる作戦なのか、年収とかの条件については良い感じの案件ありましたね。
【参考】「自分の市場価値」を把握する方法
安定した業界や会社にいると、そこでしか働けず市場で通用しない人材に自分がなってしまいかねません。


例えば、今だと以下の様な「自分の市場価値を測定できる転職アプリ」ってのがあります。
>>【参考】ミイダス公式ページ
(スミマセン、転職はしませんが登録だけさせて貰ってます‥。)


◎ 消防設備業界にいる人が転職先として選べる他業界(弊社員の話)
次に弊社員の意見。
設計事務所にいた人で、図面とか描くのに消防設備士の資格試験受けたりしてキャリアアップ計るパターンも見かけました。実際、自分が消防設備士の資格を受験したのも、その設計事務所の友人に誘われたからでして…。
消防設備士って “ついで” の資格だと思っていて、電気屋さんとか衛生屋さんとかに入ったら+αな感じで活きてくるのかなと。
例えば建築基準法上の “12条点検(建築設備定期検査・防火設備定期検査・特定建築物定期調査)” をするスキルが防災屋で身につけられれば、建築設備関連の仕事取ってこれる会社でも重宝されそう。自身の付加価値向上を狙って今、通信制の大学に入って二級建築士の取得目指しているところです。
以上を踏まえましても、防災屋で培ったスキルを活かせる場所ってのはキチンと探せば多岐に渡ると見受けられます。


【📖参考】「無理ゲー」とは…
無理ゲー(ムリゲー)とは、難易度が高すぎて「クリアするのが無理なゲーム」を指す用語です。 上記のような意味から、ゲーム以外の実生活でも環境的・物理的・状況的に解決が難しかったり、実行が困難な場合にも使われています。
もし『消防設備士になったから人生詰んでしまった‥』と言っている人がいたら、その人はおそらく「何をしても人生詰んでいた人」でしょう。
消防設備士の転職市場や業界の内情についてはザックリこんな感じです、質問などあればコメント欄に書き込んで下さいませ。
◎ まとめ
- 消防設備業界は生産性が低い為「比較的薄給」であり、その解決策としては成果(付加価値)を高める工夫に着手するといったことが挙げられた。
- 中小規模の防災屋だと未経験でも採ってくれる求人が多々あり、消防設備士の仕事に「難しすぎて出来ない」ってことは皆無だと思っていた。
- 防災屋で培ったスキルを活かせる場所ってのはキチンと探せば多岐に渡り、どうすればキャリアアップしていけるかという出口戦略を意識していれば無理ゲーにはならんって話であった。