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1㎡未満の収納等でも感知器の設置が免除されないってホント⁉

収納等 1㎡未満 感知器

https://aokimarke.com

先日、同業他社の消防設備士さんが以下のツイートをされていました。

CHICKHAM【闘う消防設備士】

CHICKHAM【闘う消防設備士】

@ui_bousai

よく1㎡未満の収納なら感知器は要らないと消防の方に言われませんか❓❓

事実、私はそう言われ、そう思って過ごして来たわけ。
それをとある消防で「そんな指導してますか。法令の読み違いです」と断言された😱

私がOKにした0.7㎡程の物入れも未警戒判定💦

消防認定の未警戒が巷に溢れてることになるぞ😨

収納等 感知器

参考CHICKHAM【闘う消防設備士】さんTwitter(@ui_bousai)

業界関係者であれば毎度お馴染みの通り、消防法の取り扱いは各市町村によって異なることが往々にしてあります。

強欲な青木
えっ!ず~っと、収納等は「1㎡未満なら、感知器の設置が免除」を基準にしてるけど‥違うの⁉
大阪市の場合は1㎡未満の収納等は感知器の設置は免除なんですが‥他の所轄消防署だと “1㎡” と明確に謳っていなかったりしますね。
管理人
絶望タマスケ
絶望タマ王
‥ってことは、1㎡未満の収納等でも感知器を設置する場合があるってこと?
大体は、1㎡が基準になっていますが‥あり得ます。
管理人

1㎡未満の収納等でも感知器の設置が免除されないってホント⁉

◎ パイプシャフト等の1㎡と読み違えている⁉

上述したCHICKHAM氏のツイートに対して、同業の同志が下記のリプライをしていました。

yu

yu

@IWSGy0KRiIfVvT7

1平米未満免除に言及する文書は意外に少ない…というか明示されてないんですよね。

S.44.11.20消防予第265号のパイプダクト等に対する運用と、各市町村の運用指針などでしか1平米に関する記載を見つけられないです。

なんで消防によっては必要な所も有るかと思っています。

参考yuさんTwitter(@IWSGy0KRiIfVvT7)

CHICKHAM【闘う消防設備士】

CHICKHAM【闘う消防設備士】

@ui_bousai

そうですよね。
千葉県内でも0.81㎡という独自の条例の地域もあります。

パイプシャフト等の1㎡と読み違えてるとその消防官は言ってました。
3.3㎡以下の条件満たさない収納は全部必要だと。

逆に条件満たせば3.3㎡未満までは不要とも言えますよね。
同じ都内で他の消防とこの見解の差は何でしょうか

参考CHICKHAM【闘う消防設備士】さんTwitter(@ui_bousai)

データマスケ
データマ王
当たり前の様に “1㎡” を基準に感知器が設置免除できるか判断してたのは一体何やったん⁉
ネット上の運用基準にザッと目を通すと、確かに1㎡の文言が見つけられない市町村も多々ありました。
管理人
強欲な青木
『(‥そうなると、やはりパイプシャフト等の1㎡と読み間違えていたってコトですか?)』
調べてみないと分かりませんが、もしかしたら当該市町村には設置緩和規定が設けられていない可能性も。
管理人

 

◎ 大阪市の感知器設置基準

実際に、所轄消防署の大変詳しい予防担当者様に話を伺いましたところ、大変丁寧に教えて頂けました。

市旗(大阪市)

現在は大阪市にて常識とされている “1㎡未満の収納等は感知器の設置が免除できる” は、以下の「消防用設備等の設置に関する質疑回答集」の文言に基づいています。

問14 1平方メートル未満の押入又は物入等においても、感知器の設置は必要か。

答14 押入については全て必要である。なお物入等は床面積が1平方メートル未満のものについては、設けないことができる。

平成11年6月30日付け消予第306号通知

参考消防用設備等の設置に関する質疑回答集’18 予防部規制課 平成30年3月

上記の質疑回答がベースとなって、以下の通り大阪市の運用基準に落とし込まれています。

 

「押入等」は床面積に関係無く感知器を設置

大阪市の「消防用設備等の設置に関する運用基準 」の第4 感知器にて、以下の通り明確に規定されています。

(3) 押入又は3.3㎡以下の物入(以下「押入等」という。)の感知器の設置については、次によること。

  • 押入等は、原則として居室と異なる感知区域として感知器を設置すること
  • イ 感知器は、原則として押入等の上段部分に1個以上設置すること。ただし、当該押入等から出火した場合でも隣室等への延焼のおそれのない構造等の場合は、これによらないことができる(図2-1-3)。

参考第4 感知器

3.3㎡=1坪(つぼ)

消防署予防課のタマスケ
予防タマスケ
この文言だと、大阪市についても “押入等” には1㎡とか関係なく感知器の設置義務が生じそう。
そう‥ただルール上「押入等」と「物入」が明確に区別されていることに留意する必要があります。
管理人

「押入等」と「物入」の違い

「押入等」は、和室にある「布団のようなものを入れる室」を指しています。

押入れ 感知器

一方「物入」は主に洋室の収納全般を示しています。

「押入等」に該当する場合は、もし火災があった場合に “燻煙” するので、床面積に関係無く感知器の設置義務が生じます。

燻煙(くんえん)‥多量の煙を出すようにものが燃えること。 煙でいぶすこと。

火消しタマスケ
火消しタマスケ
ふとんが燃えた場合、じわじわ温度上昇するので温度差を検知する熱感知器は不適です。
今どきドラえもんが寝てるような専ら布団を収納する「ザ・押入れ」ある建物って中々ないけどね。
管理人
消防署予防課のタマスケ
予防タマスケ
図面上で「押入」って記載されると感知器要るので、やんわり「物入」に‥って指導もあります。
所轄消防署の予防担当者様は市民の味方ですし、訴訟も避けたいので余分な設備付けさせませんよ。
管理人

 

「物入」は床面積1㎡未満で設置免除可能!

物入 感知器

ちなみに、同じ大阪市の運用基準 第12 特例基準 では、物入の感知器について以下の通り謳われています。

2 次のいずれかに該当するものについては、自動火災報知設備の感知器を設置しないことができる。

(12) 床面積が1㎡未満の物入又はSK室

参考第12 特例基準

SK室‥スロップシンク(マンションのバルコニーなどで見られる、底の深い流しのこと)のある部屋のこと。

上記の文言は、パイプシャフト等の水平投影面積が1㎡未満のものは感知器の免除が可能である条文と別でハッキリ謳われています。

点検タマ王
同じ大阪府内で、堺市某所の現場では「収納に設置する感知器は “煙” にして下さい」って指導も過去にありましたね。
あれ確か特定防火対象物のみやったかと‥押入等には定温式スポット型 “熱” 感知器つけるのでイレギュラーな指導です。
管理人

条文を検索するコツ

Windowsの方は「[Ctrl]+[F]」でページ内キーワード検索(Macは「[command]+[F]」)できます。

ページ内検索 ショートカット

特に、消防関係法令を検索する機会の多い消防関係者は絶対使って下さい。
時短になります。

 

◎ 所轄消防署毎に異なる設置基準

大阪市については、上述した大阪通知の質疑回答集に基づいて明確な規定がありましたが、市町村によって感知器の設置基準が異なることは十分あり得ます。

消防点検 未警戒

消防法 第17条〔消防用設備等の設置・維持と特殊消防用設備等の適用除外〕では、明確に「市町村ごとに異なる規定を設けることができる」と謳われています。

○2 市町村は、その地方の気候又は風土の特殊性により、前項の消防用設備等の技術上の基準に関する政令又はこれに基づく命令の規定のみによっては防火の目的を充分に達し難いと認めるときは、条例で、同項の消防用設備等の技術上の基準に関して、当該政令又はこれに基づく命令の規定と異なる規定を設けることができる。

参考消防法 第17条〔消防用設備等の設置・維持と特殊消防用設備等の適用除外〕

 

千葉県内に0.81㎡未満で感知器の設置が免除できる地域が‥

CHICKHAM氏のツイートでも、千葉県内で1㎡が基準になっていない地域があると言及されていました。

千葉県内でも0.81㎡という独自の条例の地域もあります。

参考CHICKHAM【闘う消防設備士】さんTwitter(@ui_bousai)

消防用設備点検をする側は作動試験だけでなく、そもそも「感知器が設置されているかどうか」も確認します。

これまで『この押入等は1㎡未満やから、感知器無くてもヨシ!』と点検していたところが、実際は設置義務あったと分かれば一大事です。

強欲な青木
せめて自分達が実務をするエリアで適用されているルール位は把握しておかないと、仕事になれへんね。
大阪市の場合は「1㎡未満なら感知器免除可」の規定ですが、もしかしたら所轄消防署によって異なるかも‥。
管理人
強欲な青木
お客様の為にも、しっかり消防法に基づく「理論武装」の準備はしておきたいところ。

消防法は各市町村により取扱いが異なる為、業務エリアの運用基準には精通しておくべし。

 

【補足⑴】収納等2㎡未満で感知器の設置が免除できるケース

特定小規模施設用自動火災報知設備を設置する場合は、収納等の面積が2㎡以上あれば感知器を設置します。

特定小規模自火報 収納

参考民泊における消防用設備の設置について

特定小規模施設用自動火災報知設備が設置されている建物では、2㎡未満の収納だと感知器の設置を免除できます。

 

【補足⑵】納戸等4㎡未満で感知器の設置が免除できるケース

共同住宅特例(省令40号など)が適用される防火対象物に設置される共同住宅用自動火災報知設備については、4㎡以上の収納室に感知器を設けます。

感知器は、次の場所に設けること。

ア 住戸内の厨房、居室、収納室(納戸等で4㎡以上のものをいう。)及び階段

イ 共用室、管理人室、倉庫(4㎡以上のものをいう。)、電気室、機械室その他これらに類する室

参考共同住宅等に係る消防用設備等の技術上の基準の特例について(通知)(平成7年消防予220)

共同住宅特例が適用されている建物では、4㎡未満の納戸等の感知器の設置が免除されている可能性があります。

 

◎ まとめ

  • 同業他社の消防設備士さんが「1㎡未満の収納なら感知器は要らない指導は、法令の読み違いです」と消防の方に断言された旨をツイートされていた。
  • 大阪市では「押入等は、原則として居室と異なる感知区域として感知器を設置すること」と運用基準で謳われており、「物入」については床面積が1㎡未満で感知器の設置が免除できた。
  • 消防法は各市町村により取扱いが異なる為、業務エリアの運用基準には精通しておくべきであった。
  • この記事を書いた人

管理人

【経歴】鈴鹿高専材料工学科 ⇒ 静岡大学工学部(3年次編入学) ⇒ 院 ⇒ 鈴与㈱ ⇒ 某A防災㈱ ⇒ 青木マーケ㈱※独立
【保有資格】消防設備士全類・危険物取扱者全類・第二種電気工事士・工事担任者(AI・DD総合種)・第三種電気主任技術者
【主な活動】月刊誌「電気と工事(オーム社)」コラム執筆・ブログ(月間40万PV)・YouTubeチャンネル「強欲な青木&消防設備士」の動画作成

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