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地震で消防用設備等が受ける被害と対処方法

地震 スプリンクラー 作動

https://aokibosai.jp

お悩みタマスケ
お悩みタマスケ
地震発生で、火災から建物や人命を守る消防用設備等が被害を受けてしまう場合の対策って何があるの!?
例えば地震によって被害を受けやすいスプリンクラー設備なんかは、早めに漏水を止めることで損害を小さくする等の対策あります。
管理人

 

弊社のメンテナンス部を任されている梶谷社員より、お客様から以下の様な質問があったと報告されました。

カジキ

お客様から質問ありました

メンテナンス部 梶谷社員

お客様から『地震が発生した場合に、消防用設備等って作動するんですか?』と質問ありました。

取り急ぎ『消防用設備等は、火災に対して反応する為、作動しない。※例外あり』と回答しておきましたが、補足したいのでページあると有難いです。

※非常放送設備に地震速報を受けて警報を発するものもある

 

こういった事情もある為、地震によって影響を受ける消防用設備等と、その対処法について記していきます。

 

地震で消防用設備等が受ける被害と対処方法

例:スプリンクラー設備の破損

令和3年2月13日23時07分に発生した福島県沖を震源とする地震によって、以下の様な被害を受けたというツイートがありました。

サニーランドフォルテ店

サニーランドフォルテ店

@sunnyland_forte

地震でスプリンクラーが作動してしまい商品がほとんど水に浸かってしまいました。

スプリンクラー 地震 水損

とてもつらいです。

売り物になりません。

なんとかしなければなのですが。

参考サニーランドフォルテ店(@sunnyland_forte)

地震による被害とはいえ、火災から財産を守る為の消防用設備等による水損とあっては消防設備士として悔やみきれない思いです。

タマスケ団員
タマスケ団員
管理人、今のテメェがすべきは反応的に悲観することじゃなくて再発防止の為の発信やろ。プロ根性みせろよ。
はい‥できるだけ同じ悲劇が繰り返されない様に、上記の件について一次対応方法を記していきます。
管理人

 

大規模地震で被害を受けやすいスプリンクラー設備

以下のデータは、東日本大震災による消防用設備毎の被害内訳です。

東日本大震災における消防用設備等の被害

参考大地震や台風等による消防用設備等への影響

過去の大規模地震において消防用設備等にも被害が及んでおり、他の消防用設備等と比較すると特にスプリンクラー設備が適切に動作しなかった事が報告されています。

工事タマスケ
工事タマスケ
また、スプリンクラー設備が受ける被害の原因として、圧倒的に「地震の揺れでヘッド、配管が破損」した事が多かったと報告されています。
残念ながら日本においては、再び大規模地震が発生して同じ様な被害が起こることは目に見えていますから、事前に対策方法について周知されておくべきかと。
管理人

 

水が漏れた場合は「制御弁」を閉める!

スプリンクラー設備は配管内の水圧が低下すると消火ポンプが起動し、消火水槽内にある大量の消火用水が加圧送水される仕組みになっています。

ねじ込み継手と配管の接続部分が離脱

よって、地震による衝撃で天井裏の配管が折れる等で水が漏れ出てしまうと、そこから消火ポンプから送られた水が勢いよく噴き出てしまいます。

 

上述した様なスプリンクラー設備の故障による “水損” を最小限に抑える為には、各階にある「制御弁」のバルブを閉める必要があります。

 

制御弁の設置場所

制御弁は「制御弁(スプリンクラー設備)」と赤字に白文字の標識が掲げられている箇所に設置されています。

制御弁 ㈱石井マーク

参考消防設備標識 ㈱石井マーク

 

制御弁室には流水検知装置(アラーム弁)が設けられており、その直下部にある “仕切弁” というバルブを閉めることで消火ポンプからの水が当該階の配管へ送られなくなります。

流水検知装置 仕切弁

☟分かりにくい場合は前ブログ “【図解】アラーム弁の構造・仕組み” も、ご参照下さいませ。

参考
アラーム弁 構造
【図解】アラーム弁の構造・仕組み

続きを見る

水損を最小限に抑える為には、建物の関係者サイドの方々(防火管理者など)が制御弁を閉める操作を行うことが不可欠です。

何故なら、一刻も早く水を止めなければ急速に水損の被害が拡大してしまい、例えば我々の様な業者が到着した段階では既に手遅れ‥という状況になってしまうからです。

地震や台風といった自然災害発生時においては、交通がマヒしたり業者も緊急対応に追われてしまい作業実施の時間が遅れる傾向にあります。

理論武装タマスケ
武装タマスケ
自然災害による被害から身体を守る為の防災だけでなく、財産を守る為にも知っておくべきことがあるというワケですか‥。
酷な事かも知れませんが、これが現実です。普段から情報収集をして準備をしておくことで、もしもの時の後悔を最小限に抑えられます。
管理人

続いて、地震発生に伴う消防用設備等と係る他のトラブルと対策について代表的なものを紹介していきます。

 

◎ 地震発生直後に起こる消防用設備等のトラブルと対応策

地震発生 トラブル

地震に伴って起こる、消防用設備等の主なトラブルが数パターンありますので順に解説します。

 

消火設備の水槽水位異常

消火設備には、以下の様な水を蓄えておく3つの水槽があります。

  • 消火水槽(消火用水を溜めておくメインの大きな水槽)
  • 補給水槽(配管内を水で満たして置く為に建物最上部にある水槽)
  • 呼水槽(消火ポンプと埋設の消火水槽の間の配管を水で満たす為の水槽)
ヤバいタマスケ
ヤバいタマスケ
いきなり『3つの水槽が‥』とか言い出すから、結婚式の挨拶でもし始めるんかと思たわ。

 

これら3つの水槽には、いずれも水位が低くなると自動で給水をする “ボールタップ” が備わっています。

ボールタップ

地震によって水面が揺れてボールタップが下がることで、通常の水位より上まで給水されてしまうケースが発生します。

その後、水位が上がったという情報が電極棒によって検知され、例えば「消火水槽 満水」といった異常が警報盤へ送られて警報音が鳴ります。

電極棒とは‥水槽内の “満水” と “減水” を感知し、その信号を制御盤や自動火災報知設備の受信機に送るもの。

電極棒3本

長さの異なる3本の棒から構成されており、水位の変動で水との接し方が異なることを利用して電気信号を発する。

参考“電極棒” の取付

 

水位異常時の対応方法

地震によって警報盤上で水槽関係の異常が出ている場合において、その対処法は主に以下の通りです。

警報盤 異常

  • 水面が揺れて一時的に満水が出た場合‥警報盤上のリセット操作のみで異常ランプ復旧可能
  • 給水されて水位そのものが上がってしまった場合‥警報盤の異常ランプを消すには水抜き操作が必要
  • 減水関係の警報が出ている場合‥水槽からの漏水が考えられる(※緊急性あり)

 

配管からの水漏れ

配管系統から水が漏れている場合は、消火ポンプや補給水槽のバルブを閉じて新たに配管内へ水が流れることを防ぎます。

配管 水漏れ

タマスケ博士
タマスケ博士
冒頭で述べた通り、早急に対処しなければ水損に繋がるので漏水箇所を特定して対応する制御弁を閉めにゃならんノォ‥。
漏水箇所が不明なら、消火ポンプのメインバルブを閉めてポンプを停止しますね。
管理人

 

また、配管内の圧力低下によって消火ポンプが起動してしまう場合は、電源を落とす等しておかないとトラブルの原因になります。

消火ポンプで加圧送水-漏水

参考消火ポンプ水漏れトラブルの調査結果㊙

 

停電が起こっていた場合の異常

消防用設備等の電源は、停電時にも使用できる様に非常電源が備わっています。

電話タマスケ
電話タマスケ
停電後に『受信機からトラブル音が‥』という電話があった場合は、十中八九この予備電池の容量不足によるものですね。
ただ単に予備電池の容量が減ったことによる警報音の場合は、しばらくすると充電されて元に戻るので復旧することが可能です。
管理人

もし、予備電池の不具合が回復せずにトラブル音が鳴り続けた場合は電池を交換します。

参考火災報知器の“トラブル音”!?

 

◎ 地震直後に確認しておきたい箇所3つ

こちらは設備を知っている建物管理者向けの話になりますが、記載しておきます。

 

☑ スプリンクラー制御弁の圧力が安定しているか

アラーム弁 圧力

地震による配管の損傷などに伴う微量の漏水などがあった場合に、早期発見が可能です。

 

☑ 水槽の水位に異常がないか

水槽 給水 ボールタップ

水槽そのものが損傷してしまうことで水位が減少したり、配管内の水が漏れることで充水が行われると自動で給水されている場合があります。

 

☑ 各種制御盤にエラーなどが出ていないか

スプリンクラーポンプ 制御盤

消火ポンプや水槽の異常だけでなく、過電流など電源系の異常が発生している危険もあるので制御盤は要確認です。

ネコ・ロビン
ネコ・ロビン
地震という通常はあり得ない力が加わることで様々なトラブルが発生する可能性あるから、しっかり確認しておきたいわね。
こういったトラブルが起こり得ることを頭の片隅に置いておけば、回避できる被害があるということだけでも知っておいて頂きたいです。
管理人

 

◎ まとめ

  • 地震の被害を受けやすいスプリンクラー設備の故障による “水損” を最小限に抑える為には、各階にある「制御弁」のバルブを閉める必要があった。
  • 一刻も早く水を止めなければ急速に水損の被害が拡大してしまう為、水損を最小限に抑える為には建物の関係者サイドの方々(防火管理者など)が制御弁を閉める操作を行うことが不可欠であった。
  • お客様から『地震が発生した場合に、消防用設備等って作動するんですか?』と質問があった為、その際に利用できる話をページにまとめた。
  • この記事を書いた人

アオキ シュンスケ

【経歴】鈴鹿高専材料工学科 ⇒ 静岡大学工学部(3年次編入学) ⇒ 院 ⇒ 鈴与㈱ ⇒ 青木防災㈱【保有資格】消防設備士全類・第二種電気工事士・工事担任者(AI・DD総合種)・第三種電気主任技術者【主な活動】月刊誌「電気と工事(オーム社)」コラム執筆・ブログ(月間25万PV)・Twitter企業アカウント(フォロワー数3.2万人)の運営

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