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消防署に緩降機を斜降式救助袋へ変更する指導を受けた件について

緩降機 斜降式救助袋 避難器具

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お悩みタマスケ
お悩みタマスケ
避難器具を緩降機で積算してた新築現場‥着工届提出時に『この緩降機、斜降式救助袋に変更して下さい。』って指導されてもた!(泣)
消防法的にはOKでも、所轄消防署によっては『ウチは(6)項ロ 福祉施設等に緩降機NGなんで。』ってパターンあるよな‥。
管理人
消防署予防課のタマスケ
予防タマスケ
建物利用者を鑑みると‥緩降機を使って避難をするのは現実的でない場合、救助袋の設置が指導される消防署もあるんです。
それやったら法律変えろっちゅう話やで!お客さんの『割安で消防法に則った状態にする』ってニーズに合わせとんねんコッチは。
青木防災㈱ 社長
社長

今回、実際に大阪市外の某消防署にて『この緩降機、斜降式救助袋に変更して下さい。』と指導された(6)項ロ 福祉施設等へ設ける避難器具の設置基準は以下の通りです。

(6)項ロ 福祉施設等の避難器具

令別表第一(6)項イ 病院・(6)項ロ 老人ホームなど・(6)項ハ デイサービス及び(6)項二 幼稚園などの2階以上の階または地階で収容人員20人以上のものには、階ごとに下表の避難器具を設けます。

地階2階3階4階または5階6階~10階
 

避難はしご

避難用タラップ

滑り台

避難はしご

救助袋

緩降機

避難橋

避難タラップ

滑り台

救助袋

緩降機

避難橋

 

滑り台

救助袋

緩降機

避難橋

 

滑り台

救助袋

避難橋

 

(6)項の防火対象物における避難器具の設置基準で特筆すべきは、緩降機を設置できるのが5階までという部分に留意して下さい。

参考避難器具の設置基準

アンケート猫
アンケート猫
消防法的には「2~5階までは(6)項ロの用途でも緩降機でOK!」って設定になっているんですね。
そうなんです‥ところが所轄消防署によって「緩降機はNG!」と指導内容がバラバラって現状があります。
管理人
バレたマスケ
バレたマスケ
消防署によって指導内容がバラバラって‥そんなんエエんすか!?
消防法って各市町村の消防本部に解釈の権限が委ねられているから、それに基づく指導内容にバラつきあっても仕方ないって感じなんですよ。
管理人

では、緩降機を救助袋に変更する様に指導されると一体どうなるのか‥という部分などを具体的に掘り下げていきます。

【補足】緩降機と救助袋

緩降機とは、調速機のついたロープを用いて地上へ降りる避難器具です。


斜降式救助袋とは、斜めに展張した救助袋内を滑って降りる避難器具です。


 

消防署に緩降機を斜降式救助袋へ変更する指導を受けた件について

◎ 緩降機が選ばれる背景

まず、避難器具の設置義務が生じると分かった際、緩降機が選ばれる背景には「救助袋より安いから」という事情が挙げられます。

一動作式でない緩降機は金具と調速機を分けて設置

参考“一動作式”避難器具の設置基準

噂タマスケ
噂タマスケ
ヒソヒソ『(‥実際のところ緩降機と救助袋で、一体お幾ら万円くらい価格差あるんでしょうか?)』
緩降機より救助袋の方が1台あたり倍以上も値段が高いので、お客さんが負担する費用に開きが出ます。
管理人
タマスケ博士
タマスケ博士
建築確認→消防同意で「避難器具」の設置義務があると分かり、それに基づいて消防用設備等の費用が積算されるのォ。
消防法に準じて作成・提出した見積りに対してGOを貰っているのに、所轄消防署の一存で消防法と異なること言われたら大変困るのです。
管理人

お客様から消防設備士へ消防用設備等に関する質問をされた際に消防法と実地での経験に基づいた回答をすべきだと思っていますが、バラバラな所轄消防署からの指導への対策として『とりあえず消防署に聞いてみます』と半ば素人対応せざるを得ない状況はプロとして忌避したいところです。

 

◎ 避難器具使えない問題

今回の(6)項ロ 福祉施設等の用途である新築現場について『この緩降機、斜降式救助袋に変更して下さい。』という指導は緩降機を使用した避難が困難であるという思想に基づいて行われていますが、それ言い出したらキリ無い部分あります。

緩降機

参考緩降機の設置工事と降下試験

お縄タマスケ
お縄タマスケ
緩降機って‥普通にスリルあるし、バルコニー乗り上げて外に出る必要あるから割と力ないと使えないってのは周知の事実ですよね。
(5)項ロ 共同住宅の避難はしご点検してる際、そこの老夫婦に『こんなん点検してもろても、ウチら‥よぉ使わんけどな。(笑)』って言われたことあります。
管理人

建物に対して、その収容人員を基準に設置されている避難器具も、残念ながら利用者によっては使えない場合は十分に考えられます。

ゾロ猫
ネコ剣士
何やテメェ等それで諦めとんのか?‥そんなんで消防設備士ってプロ名乗れんのかよ。
だからこそ “訓練” を実施して消防用設備等をできるだけ使える物にして、その価値を上げようという取り組みしてます!
青木防災-義平社員-タマスケ (2)
義平社員

>>訓練担当社員ページ

斜降式救助袋の使用方法

今回、緩降機からの変更を指導された斜降式救助袋ですが、日頃から訓練していないと使用が難しい避難器具ですので要注意です!

斜降式救助袋を展張

参考斜降式救助袋について

斜降式救助袋は「地上で固定する作業が必要となるため一人では使用できない」点に留意されて下さい。

イケてる消防用設備等に係る運用基準をネット上に公開されている “さいたま市” さんについては、(6)項の避難器具について以下の文言を謳われています。

病院、幼稚園、保育園、社会福祉施設その他避難が困難な者が利用する防火対象物に設置する避難器具は、努めて滑り台とすること。
ただし、避難が困難な者の状況に応じて、救助袋とすることができる。

参考第 15 避難器具 さいたま市消防用設備等に関する審査基準 2019

検閲タマスケ
検閲タマスケ
ググって詳しい資料が出てくるのは有難い‥というかコレが当たり前になって欲しいです。
大阪市も消防用設備等に係る運用基準が公開されていますし、そういうとこは仕事がしやすい。
管理人
囚人T
囚人T
‥ンっ、これ “努めて” ってのは別に滑り台じゃなくてもエエってこと?
そこまで強制力はないけど「努力義務」って感じで指導されるので、割と従うことになるでしょうね。
管理人

以前よりTwitter上などで『緩降機とか、怖くて使えないでしょ!』みたいな意見を目にしていましたが、それについては今のところ用途によっては “努力義務” レベルで指導している消防署もある(ただし市町村によってバラバラな対応だから業者&お客様は困る)って状況です。

 

◎ 法改正される可能性はある?

例えばメニューに「チーズバーガー」があって、それを頼んだら『ウチは「てりたまチーズバーガー」しかやってないんです‥』って言われたら『ンならメニュー変えろや』ってツッコミ入れたくなりませんか?

チーズバーガー

しかし残念ながら、条例一つ変更を加えるのにも膨大な手間や労力が必要となるそうですから簡単に法改正されないものとみて間違いないでしょう。

タマイキー
タマイキー
消防設備士に、「どうせ消防署によって指導が異なるから、とりあえず消防署に問い合わせればいい‥」って思ってる奴いる⁉
タマイキー
タマイキー
消防設備士に!「消防設備士が消防法に詳しくなっても消防署の言いなりになるしかないから無駄だ‥」って日和ってる奴いる⁉
タマイキー
タマイキー
いねえよなぁ⁉
タマイキー
タマイキー
プロとして仕事するゾ!!!
オオオオオオオオ
管理人

消防設備士は消防用設備等のプロ。所轄消防署に確認しなければ分からないというコインの表裏を当てる様な仕事をしなければならない状況は忌避されるべき。ルールの改善を求む。

 

◎ まとめ

  • 大阪市外の某消防署にて『この緩降機、斜降式救助袋に変更して下さい。』(6)項ロ 福祉施設等へ設ける避難器具の設置基準に基づいて器具を選定していたにもかかわらず覆される指導がなされていた。
  • 緩降機が選ばれる背景には「救助袋より安いから」という事情が挙げられ、緩降機より救助袋の方が1台あたり倍以上も値段が高いので、お客さんが負担する費用に開きが出た。
  • 『とりあえず消防署に聞いてみます』と半ば素人対応せざるを得ない状況はプロとして忌避したいところであり、消防設備士が消防用設備等のプロとして仕事ができる様にルールの改善を求めた。
  • この記事を書いた人

アオキ シュンスケ

【経歴】鈴鹿高専材料工学科 ⇒ 静岡大学工学部(3年次編入学) ⇒ 院 ⇒ 鈴与㈱ ⇒ 青木防災㈱【保有資格】消防設備士全類・第二種電気工事士・工事担任者(AI・DD総合種)・第三種電気主任技術者【主な活動】月刊誌「電気と工事(オーム社)」コラム執筆・ブログ(月間25万PV)・Twitter企業アカウント(フォロワー数3.2万人)の運営

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